16 1月

「人間と自然のすべてに意味がある」

「枯木も山のにぎわい」(A bad vush is better than the open field=悪い茂みでも、何もない野原より良い)という諺がある。簡単に表現すれば、「役に立たない者でもいないよりましだ」ということになる。この諺は深くうけとめることが求められている。他人のことに用いると失礼にあたるどころか人間の尊厳をおかすことになる。むしろ、誤解を招かないように他人に用いる必要のない諺であると強く感じる私が存在する。いろいろな注釈があるが、人間に例えるならば、自分のことを謙虚して言う言葉で老人が若者に混じって何かをする時に多く用いられていると学ぶ。しかし、私は、この言葉に触れ、人間にとって謙虚さはとても大切だ。それに加えて、私が山里にいくようになり、二つのことを強く感じるようになった。一般化してはならないが、田畑や山林に専念する歳重ねた人達に出会うと現代の若者のエネルギーとは質の違う骨太のエネルギーを感じる。もうひとつは、どんな古木でも役に立たないものは一つもないことに気づく。人間が寒さにふるえて、暖を取る時に人工的な暖房機器よりも古木を薪ストーブに使い、暖を取るあたたかさは言葉で表現できないほど心地好い。自然のぬくもりに違和感なくふんわりと包まれるのを感じる。これが、人間本来、心の底から求めている「暖を取る」ことであると体験を通して学ぶ。
最後に、上記の諺を我々人間に当て嵌めて語るならば、意味のないものは一つもなく、意味のない存在は一人もいないということである。道ばたの隅にころがる石ころ一つにも意味がある。